迷子のお母さん
2011/08/19
迷子のお母さん
今日もなんとはなしに店内を散策。
別にあたしゃ、暇なわけじゃない。
ただヒトよりも少し時間があるだけ。
ヨソサマは言う。
「いいですよね、自分で時間を作れるお仕事は」なんてね。
わざわざ倒置法で強調せんでもよかろうに。
そんなことを考えながら歩いていると、店内放送が……。
「三島市よりお越しの、キタジマトシヒコ(仮名)くんをお預かりしております。
お連れ様は一階警備室までお越しください」
ココに来ると一回はこの放送を聞くね。
タイミングよく(?)ジュピターでワインを選んでいた私。
当然、すぐ近くの警備室前をちらり。
何でって?
だって、感動のご対面に遭遇できる機会なんて、そうそうあるもんじゃない。
テレビだったら、演出するんでしょうけどね。
それが生で見られるなんて、あーた、見といて損はないよ。
来た来た。
お母さんダッシュ。
泣きながら駆け寄るトシヒコ。
キャッチ&ハグ。
子供を叱りながらも警備員にお礼を言うお母さん。
涙が嗚咽にかわるトシヒコ。よかったねぇ、トシヒコ。
これで私も心おきなく買い物ができますよ。
ええ、無関係ですが、何か?
そうそう、もうクリアランスセールも終わりが見えてきたって感じだね。
夏はまだまだなのに夏物が安いなんて、いい時代だよ。
ワインも買ったし、綿のシンプルなシャツが欲しいなあなんて歩いていたら、
またまた店内放送。
「三島市よりお越しの、キタジマトシヒコくんが迷子になっております。
お見かけになりました方は……」
な、なぬっ!?
マジか!! トシヒコ!? 同一人物か?
確認せねば、行かねばならぬ!
再び警備室前をちらり。
お母さん、顔が真っ赤。警備員さん、苦笑。
そりゃそうだ。あれからまだ一時間も経ってない。
ほどなくスーツ姿のお兄さんに連れられて、意気揚々とトシヒコ登場。
今度は悪びれた様子、微塵もなし。いいねぇ、男の子は。
と、トシヒコは元気に言った。
「お母さん、迷子になっちゃだめだよ」
う〜ん、大物になるね。

落ちてますよ。
2011/08/12
友人の家のベランダ。ここんちの可愛いタンタンの乳母担当の私。
二人は仲良しだねえ、などと、あまーい午後のひととき。
振り向いた彼が、にっと笑う。
そんな笑顔見せられたら、あたしゃ、溶けちゃう。
と、彼の歩いたルートをよーく見たら、何やら濃い緑色の固まりが2つ、3つ。
何かが落ちている。
近づいて目を凝らせば、ウウウ、臭う。
「ちょっと、パンツはいて、ショートパンツまではいてるのに、何で落ちるの」
「可愛いからって、何でも許されると思ったら大間違いだからね」
鬼の形相の私に、彼は、何事もなかったかのように、走り寄ってこようとする。
ギャー、まだそこに落ちてるから、来ないで。
しばらくの間、あの残り香が私にまとわりついていたような……。
落ちるといえば、
この暑さで、顔に汗がしたたり落ちる。
昔は、汗なんてかかなかった。
女優は顔に汗をかかないと聞いたので、まるで、女優並みと威張っていた。
ところが今じゃ、ポタポタと汗が流れる。
そうなると、ハンカチで顔を拭く。
と、朝メイクしても、全部取れちゃう。
当然、描いた眉も取れる。鏡を見て、あ然とすることしばしば。
あたしゃ、平安時代の貴族か。
こんな悩みを友人に言ったら、
「私も眉が薄くて、朝描いても夏は汗で取れちゃうのよ。で、数年前からアイブロウコートを使っているの。でもそれもなくなりそうだから、同じものをずっと探してたんだけど、なかなか見つからなかったの。でね、この前サントムーンのシネプラザで映画を観た帰り、ハックドラッグに寄ってじっくり店内を見てまわったら、あったのよ、探してたアイブロウコート。一番端の一番下の棚にね。よくぞ見つけたって、自分をほめてあげたかった」
早速行きました、ハックドラッグ。
教えられた通路を探したつもりだけど、なかなか見つからない。
それでも諦めず、探しましたよ。
あっ、あった、一番すみっちょに。
これを見つけるなんて、友人が自画自賛するだけのことはある。
それ以来、汗かいても落ちてませんよ、私の眉。

飽きない夏
2011/08/05
「水道代って2か月に一度の支払いだよね」
「そうだよ」
「水道代の1万円の請求を見てね、父親がこれは2か月分だらって言ったらね、何を勘違いしたのか母親は1か月分だって、言い張るさ。私は父親に2か月だよって、そっと言っといたんだけどね」
「それにしても水道使うなあ」
と、父親もぼそっと言ってた。
あーあ、節水しなくちゃ。
節電の今夏、
うちでは、これ以上できませんというほど、節電している。
クーラーは使わないし、部屋の電気は外が薄暗くなるまでつけない。
料理だってあまりせず、粗食に耐えている。
水道も電気も節約しなくちゃいけない、我が家の夏。
「こうなったら、毎日外出するしかないね」
と言ったら、
「外出すると、余計なものまで買ってしまうから気をつけないとね」
と、友人が助言する。
「だけど、外出するってどこに行くの」
「サントムーンなら、自由に使えるテーブルとイスもあるし、いいんじゃない」
「フードコートの外のテーブルで自分で作ったお弁当を食べてる女の人たちもいたよ。ウォーキングの途中らしかった」
「そりゃあ、いい考えだねえ」
「しかし、毎日ってのもねえ」
「でもね、私もよく来る方だと思うけどさ、来るたびに見かける人がいるよ」
「そうなの?」
「そうそう、たぶんこの人は毎日来てるんじゃないかと思うくらい。別の友人も見かけるって言うし。私が来ない日も絶対来てると思う」
「何してるだら」
「それは、分からないけど……。歩いてるよ」
「じゃあさ、サントムーンって毎日来て歩いても飽きないってこと?」
ウーム、そうなるか?

凶運な女
2011/07/28
凶運な女
「私さあ、おみくじひくと必ず凶なんだよね」
「ええっ、凶のおみくじなんて見たことないよ」
とある神社。そっとおみくじを開く。
「ほらね!」
そこには確かに凶の文字。
「ひえー、ホントだ。凶なんて滅多にひかないから、逆にくじ運がいいんじゃないの」
そんなこたあない。だって、凶は凶なわけで、いい気分になれるってものじゃないしね。くじ運なんてあるわけがないじゃん。ったく、なぐさめにもならないよ。
それ以来おみくじはひいたことがない。
凶が出れば、やっぱりだと、がっくりだし、逆に大吉なんてひいちゃったら、これは変だ、何かよからぬことがおこるかもしれない。なんて、疑っちゃう。素直じゃねえなあ……。
もちろん、宝くじなんて買わない。当たるわけないから。
だから、サントムーンの3,000円お買物券が当たる抽選にも応募したことがない。
だって、凶運の女だから。
私の友人は、これまでもせっせと応募してきたが、当たったことはない。
最近では、どうせ応募しても当たらないからと、応募券をもらっても出さずにいるという。
「名前とか住所とか書くでしょう。面倒くさいじゃん」
負け惜しみとしか聞こえようがないことをつぶやく。
この友人はくじ運がよく、抽選会があると必ず賞品をゲットする。
小さなラッキーの積み重ねが幸せな人生を作るんだねえと思いたくなるほど。
ところが前回、私たちの共通の若い友人が当たった。
そして、幸せのおすそ分けと言って、そのお買い物券でサーティワンアイスクリームを買って来てくれた。まったく、いい子だよ。
「当たることもあるだねえ」
アイスクリームを食べながら、しばし無言。
名前と住所を書くのが面倒と言っていたこの友人が、応募箱に応募券を入れるのを目撃したのは、つい先日のことだった。
翌日私も応募したけど、当たるわけないか、なんたって凶運な女だからね。
でも、凶運が強運になることがあるかもしれない。あるかなあ……。

食後の一服
2011/07/23
「食後の一服がなけりゃ、食事が終わった感がないじゃん」
と、悪友。
フードコートで明太子パスタを食べ終わり、さて、一服でもするか。
と、バッグに手を突っ込んでたばこを探し始めた。
ええっ、ない。
ないと分かった瞬間に彼女は、「サントムーンでたばこ売ってる?」と聞いてきた。
「自販機がそこにあるよ」と、フードコート近くのトイレの方向を指差すと、「自販機じゃ買えないさ、だってタスポがないもん」。
「たばこ吸うんだから、タスポくらい持ってりゃいいじゃん」と言うと、
「タスポって、手続きが面倒臭そうだったから持ってない。タスポがなくても、コンビニとかで買えるしね。年齢確認が必要な商品だけど、いちども年齢確認なんかされたことがないし」。
あったりまえじゃん。誰が見ても、どこから見ても、ハタチなんてトシははるかかなた、そんな時があったの?って、お尋ねしたいくらいだよ。
そこで、教えてあげましたよ。あたしゃ、困っている人を見て見ぬ振りはできないタチだからね。
「ABCチケットで、たばこ売ってるよ」
「ABCチケットって金券ショップだら」
「そうだけど、たばこもあるよ」
「ええっ、知らなかった。ちょっと、行って来る」と、早足で出かけた。
ニコニコして戻ってきた彼女のバッグには、たばこと、ライター。
「このライター50円だった。家に帰れば、ライターなんて売るほどあるのにさ、火がなきゃたばこも吸えないら」。
まあ、それはそうですね……。
「ついでに、切手も買ったよ。50円切手2枚って言ったら、ちょっと大きいけど記念切手でもいいですかって聞かれてね、切手なら何でもいいですって言ったら、2枚で90円だった。1枚45円。何だか得した感じ」とも。
ちっと我慢すれば買わなくてもよかったライターに50円払ったのに、切手が5円安かったと喜んでいる彼女。何だかねえ。かわいいねえ。
「すぐ戻るからさ」と、喫煙コーナーに向かう彼女。戻ってきてすぐに
「何で、ABCチケットでたばこ売ってるの知ってた?」
「フロアガイドにちゃんと載ってるよ」と教えてあげたけど、実は私は……。うーんこれ以上は言えない。


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